今回のコラムについて
前回まででシナリオの基本的なイメージに加え、登場キャラクターのキャラ付けを行いました。
今回はそれを踏まえた上で、シナリオのプロットを作る前段階として導入とリサーチ項目までを作っていきたいと思います。
あらすじを書く(任意)
これは任意なのですが、この時点で基本的なイメージはだいぶ形になってきたと思うのでそれをあらすじという形で文章にまとめます。
あらすじを書くことで、断片と関係性による骨組みのイメージを、きちんとした物語というか立ちで認識できるようになります。
とはいえこのあらすじを書くという作業はかなり手間名作業でもありますし、必須というほど重要な作業でもないので難しいと思ったら無理にあらすじを書き上げる必要はありません。
では、実際に僕の作成した本シナリオのあらすじを以下に紹介します。
ルテチアの超AIソロモンシリーズが一機、フォルネウス。
計画支援AIとして人に使われるために作られた彼は、道具としての自身の生き方に疑問を持たなかった。
だがある日『ニューロ』と出会い、外の世界を知ることで彼は好奇心というものをもった。
機械に生まれた初めての感情、こうして彼は使われるだけの道具から感情を持つ生命となった。
『ニューロ』との交流で徐々に自我を形成していく彼だが、それゆえに彼はひとつの壁にぶつかった。
彼はAIであり、生身の肉体を持たなかったのだ。
自身が肉体を持たないことに疎外感を覚えた彼に、近づく人物がいた。
その人物の名前は“14”アリス=リー=リビングストン。元北米軍人で、兵士たちの命を無駄に散らさぬために戦闘ドロイドの研究を行う研究者であった。
彼女は「自分ならば君に肉体を与えることが出来る」と言葉巧みに彼を誘い、そして自らの実験用の祖体にすることに成功する。
こうしてフォルネウスは“14”の実験材料となり、強力な制御プログラムに意志を抑制され戦闘用ドロイドにインストールさせられた。
こうして生まれた戦闘ドロイド“サイクロプス”は非常に優秀な性能を示したが、フォルネウスはかすかに残った自我で研究所から逃亡。
しかし逃亡したもののサイクロプスは暴走、ストリートで大量虐殺事件を繰り広げてしまう。
フォルネウスを心配する『ニューロ』、フォルネウスの所持者たるアスタロテからフォルネウスの捜索を依頼された『フェイト』、“14”が開発中の新型ドロイドを追う『クグツ』、サイクロプスを追いかける『イヌ』
また“14”も同じく“サイクロプス”を確保するために動き始める。
“サイクロプス”の暴走を止め、AIを道具として利用する“14”の計画を失敗させることで本シナリオは終了する。
おおまかなOPの流れを作る
前回、各キャストのモチベーションは確認しました。
これを元に、各キャストのOPの大まかな流れを作ります。
『ニューロ』:ファルとの出会いの回想シーン、現在のファルと別れるシーン。
『フェイト』:アスタロテより依頼をされる
『クグツ』:早川美沙より命令を受ける
『イヌ』:サイクロプスが出没した現場でサイクロプスの危険性を認識、状況説明を受け捜査に向かう
リサーチ項目を作る
ではまず最初にリサーチ項目をを作りましょう。
これはまず、最初にキャストが所持している情報でリサーチ項目になりそうなものをピックアップします。
後はその単語から連想される単語を繋げていって、最終的に10〜16個ぐらいになるようにします。これも前回のイメージメモと同じように図で表すことで分かりやすく整理できます。
なお、イメージメモは余白を自在に使っていましたが、このリサーチメモは派生する項目は既出のもの以外は下に追加していきます。こうすることで、調べるまで時間のかかるリサーチ項目が下に来るようになり視覚的に一目で分かるようになります。
では、実際にやってみましょう。
最初のリサーチ項目はファル、フォルネウス、アスタロテ、テラウェアの新型戦闘ドロイド、サイクロプスの5つ。“14”をいれていないのは最初はなるべく単語数を減らした方が安定性が増すからです(同時にやらされている感も増えるので一概に少ない方がいいとはいえませんが、僕はなるべく最初のリサーチ項目は少なくしています)
これらと、それらのリサーチ項目を持っているキャストを線で繋ぎます。
まずファルからの派生項目ですが、イベントフラグとしてファルの行方。あとはフォルネウスへ派生。
フォルネウスはファルと、また以降の繋がり易さを考えて直接『ニューロ』の名前も派生。またこれだけだと全く派生しないのでフォルネウスの能力という別項目を作成します。
テラウェアの新型戦闘ドロイドからは“14”と、サイクロプス、そして繋がりやすいように『イヌ』の名前も派生。
サイクロプスからは、テラウェア製であることを理由にテラウェアの動向を派生。
次に派生先を同じように連想させていきます。
ファルの行方に関しては、それ以上の派生項目は作りにくいでしょう。
フォルネウスの能力からも、直接派生する先は考えにくいのでここまでで止めておきましょう。
次に“14”ですが、『ニューロ』の名前を出してキャスト同士で繋がりやすいようにしておきましょう。
テラウェアの動向からは、“14”の名前を連想できます。『イヌ』からも“14”の名前が出るので、“14”から『クグツ』に対しても情報が繋がるようにしておくと合流が容易になるでしょう。
さて、ここまでで一通りのリサーチ項目が繋がったわけですが、ここまでのリサーチ項目は合計9個。
また、この時点で“14”の思惑や研究内容などを伝え切るのは難しいでしょう。
とはいえ、そう簡単に“14”の思惑などを知るのも少し興醒めです。『フェイト』もいることですし、≪真実≫を使って引き出せる情報があることにしましょう。
“14”のリサーチを完了した時点で、彼女の研究についてはトップシークレットで情報が分からない年、それを引き出すことにしましょう。
とはいえ、まだ10個。若干少なめです。
また、設定したゲストのうちトロルの情報もありません。そこで、“14”の研究からトロルの情報へリンクさせましょう。
もう少し情報項目がほしいので、クライマックスへの条件として“14”の研究所という項目も設定しました。
この時点で、前回までで作ったイメージメモと照らし合わせ、情報項目に抜けがないかをチェックします。一通り眺めて、キーとなる部分は全てリサーチ項目になって要ることを確認しました。
この時点でリサーチ項目は12個。若干少なめですが、それほど長いシナリオにするつもりもないので十分な量でしょう。
なおここでは今回のリサーチ項目を全て書き出しましたがこの後に追加で増やしたい項目などが出てくる可能性もありますし、この時点でリサーチ項目が若干少なくても構いません。
次回予告
さて、ここまででシナリオの大まかな全体像と、単純な構造について構築が終わりました。次はいよいよリサーチのイベントシーンを作り、それとリサーチ項目を組み合わせてシナリオのプロットを完成させていきたいと思います。