今回のコラムについて

 前回まででシナリオの基本的なイメージと、それを膨らませるまでの作業を行いました。
 第二回の今回は前回作り上げたシナリオのイメージから、ゲストとキャストに着目して肉付けしていきます。

 
ゲストのキャラクターを掘り下げる

 まず最初に、前回は大まかにしか決めていなかったゲスト陣を掘り下げていきます。
 まずは最低この程度まとめてあれば十分という分量で簡単にまとめてみました。
 なお今回は説明の手間と分かり易さを考慮してこの時点でキャラクター性に関してはほぼ固めていますが、イベントを考えていたら思いつくということもあるので現段階ではもう少し大雑把でも構いません。
 また、ゲストのスタイルはもう少し後に決めた方が融通が利きますので確定的な部分以外は決定させなくても構いません。

フォルネウス(ファル):
 『ニューロ』の友人であるAI。AIらしさを前面に押し出して結構無感情系。愛称はファル。
 敵ゲストに兵器利用されてしまい、後述の戦闘ドロイドとなってしまう。
 確定スタイル:後述。

戦闘用ドロイド→サイクロプス:
 フォルネウスが兵器利用された姿。ルール的にフォルネウスと同ゲスト。
 サイバーサイコなのでカタナ。一目でインパクトを与えられるように一つ眼の巨大なドロイドにして、サイクロプスと呼称。
 確定スタイル:カタナ、ニューロ。

敵ゲスト:
 本シナリオのラスボス。AIの友情話に対する障害なので、AIを道具としか思っていないマッドサイエンティスト。
 とにかく強い戦闘用ドロイドを作ろうとしている。
 確定スタイル:タタラ。

戦闘用敵ゲスト
 ゲストが足りないので戦闘用に登場する追加ゲスト。
 敵ゲストが作り上げた戦闘用ドロイドの一機。敵ゲストによって作られたこてこての戦闘ドロイドで、しゃべらないけど強い。
 確定スタイル:なし。

   
ゲストのキャラクターを掘り下げる(上級編)

 先に簡単にゲスト陣をまとめましたが。慣れてくるともっとゲストを深く掘り下げることも出来るようになります。
 ここでは、先ほどのキャストの掘り下げよりも一歩進めた深いキャラクター付けについて記載します。

フォルネウス(ファル):
 本シナリオの中心ゲスト。
 超AIソロモンシリーズが一機、フォルネウス。強力な能力を持つが、道具として作られたため自我が薄い。
 『ニューロ』との交流により、徐々に自我を育んでいくというコンセプト。なので、性格的には無感動に見えるタイプ。
 スタイルはニューロは確定でしょう。
 フォルネウスは戦闘用ドロイドという肉体に閉じ込められてしまうわけですが。これはデータ的には後述の戦闘ドロイドと同一のゲストとして再現しましょう。
 また、名称に関してですが。『ニューロ』に対しても最初からフォルネウスと名乗ってもいいのですが、ここではアスタロテより依頼されるキャストとの差別化を図って『ニューロ』にはファルと名乗っていることにしましょう。
 フォルネウスというゲストに必要なキャラ付けは大体出来上がったので、次に進みましょう。

戦闘用ドロイド→サイクロプス:
 フォルネウスのインストールされた戦闘用ドロイドについても、シナリオ中戦闘用ドロイドと呼称するわけにもいかないでしょう。
 そこでキャラ立てのためにも特徴的な外見にしようということで、モノアイの巨大なドロイドで通称“サイクロプス”という呼称を考えました。
 では、この“サイクロプス”の能力について考えましょう。超AIを積んでいるから強いという単純な言い訳でもいいのですが少し物足りません。
 そこでフォルネウスについて考えてみました。悪魔フォルネウスは言語理解能力や幸運を持つ名前を授け、敵とも親しくなる能力の持ち主です。これを少し捻るとハッキング、すなわち電子戦に強いAIと考えることが出来ます。
 とはいえ暴走しているサイバーサイコですから、電子戦のみではなくビジュアル的には肉体戦を行いたいところです。
 つまり高い電子戦能力でセキュリティや相手の武装を無力化し、相手を肉体戦で攻撃するタイプの強襲型ドロイドと読み解けます。
 まずスタイル的には肉体戦を行うことと、サイバーサイコであることを強調してカタナ。電子戦に関してはメジャーアクションは攻撃に使用してしまうので、少し拡大解釈ですがブランチのゲートキーパーであらゆる物を自らの支配化に置くことができるという感じにしましょう。  これでニューロ、カタナまでは決りました。残り一枚を子の時点で確定させる必要はないので次にいきます。

敵ゲスト→“14”アリス=リー=リビングストン:
 本シナリオのラスボスとなるゲスト。
 AIを兵器利用するということで、タタラは決定でしょう。
 ではこのゲストはなぜAI制御の戦闘ドロイドを作成しようとしているのかについて考えましょう。
 狂科学者でとにかく強い戦闘用ドロイドが作りたい、という単純なキャラ付けでも構わないのですが。しかし今回は『クグツ』のライバルでもありますし、もう少し魅力的なゲストにしたいところです。
 そこで考えたのが、部隊に見捨てられ全滅した分隊で唯一生き残った元軍人。仲間と同じように犠牲となる兵士を減らすために戦闘用ドロイドを開発しようとしているというものです。軍人テクスチャは手軽にキャラを立てられますし悪くないでしょう。
 AIに対しては「戦闘用ドロイドは使い捨てにできる道具」としての面に価値を見出しており、「道具が自由意志を持つという危険性」と「AIを生命として認めたら、それは使い捨てできる道具ではない」と考え頑なに「AIは道具であり、命ではない」と言い続けるゲストにしましょう。
 またナンバーズなので番号には少し凝ってみたい所です。
 色々と語呂あわせをしてみて考えたのが“14”でワン・フォー。この後ろにオールとつなげればワン・フォー・オールになります。
 そこでゲストの名前をアリス=リー=リビングストン(イニシャルがALL)としましょう。
 一応勲章を14個もらった功績から“14”と見せかけて、クライマックスに「私は“14”アリス=リー=リビングストン。ワン・フォー・オール、この身は仲間たち全てのためにある」と言う台詞を佩くと結構魅力的なんじゃないかと思いました。
 スタイルに関しては、一度保留としましょう。

戦闘用敵ゲスト→トロル:
 僕はゲストの神業をよくイベントで使ってしまうので、ゲスト二人では間違いなく神業が足りません。
 そこで戦闘用のゲストも設定しましょう。
 最初はアリスが元軍人なので副官を考えましたが、彼女の部隊は全滅した設定なので廃案にしました。
 そうなると彼女の作ったドロイドにするといいでしょうが、ここで思いついたのが「戦場で死んだ副官の経験データをインストールした」ドロイドです。
 普段はずっと無口なドロイドなのですが、クライマックスの終盤辺りでアリスより先に倒れた場合に一瞬自我を取り戻すという演出は面白そうです。それを見たアリスが「AIが唯の機械であれば、道具にすぎなければこのような悲しき想いをせずに済む!だから私は、AIを命として認めることは出来ない!」とか言えば人間味を感じさせることができるでしょう。
 さておき、設定は決りましたがアリスの性格的に自分の作ったドロイドに愛称は付けないでしょう。
 そうした場合戦闘用ドロイドの共通したコードがほしいところです。
 そこで、フォルネウスがインストールさせられるドロイドがサイクロプスであることにちなんで通称GIANT(Ground Industrial Automation New Trooper)としました。造語ですし、意味が通りませんがその辺はこういったSFでは良くあることなので目をつぶることにします。
 そうするとこの戦闘用ゲストはさしずめトロルといったところでしょうか。
 このゲストのスタイルもまだ決める必要はないので未定のまま置いておきましょう。

アスタロテ:
 今回の依頼人かつ情報ソースとして、RL側からシナリオを進め易くするための手段として用いましょう。

 
キャストの枠を決める

 今度はキャストの導入枠を考えましょう。
 この際、モチベーションも同時に書き出しておくとよいでしょう。
 オフィシャルシナリオに即するならば5枠分考えた方がいいのでしょうが、最初は少なくてもとりあえず形にする方がいいと思います。
 今回も分かりやすさや作り安さを考えて、4枠で作成します。

 まずは、4つの推奨スタイルを決めていきましょう。
 現時点で確定しているのが『ニューロ』と『クグツ』。
 残りはアスタロテより依頼を受ける『キャストA』と、“サイクロプス”と対応する『キャストB』です。

 先に『キャストA』について考えていきましょう。
 これまでアスタロテからの依頼を受けるのはニューロでしたが、今回既にニューロキャストがいます。ニューロを二枠でもいいのですが、ここは別のスタイルで考えましょう。
 そう考えた際、アスタロテからの依頼は「失踪したフォルネウスの行方を探す」なので、人探しという意味で『フェイト』枠にしましょう。

 次に『キャストB』について考えていきましょう。
 サイバーサイコを追いかけるとなると、それを標的にするカタナか、市民の安全を守るイヌかがいいでしょう。
 この“サイクロプス”はあくまで“14”に利用されているだけであり、また『ニューロ』の友人であることを考えると『カタナ』よりも『イヌ』の方が適任かと思います。
 そういうわけで『キャストB』は『イヌ』枠にしましょう。

 
キャストのモチベーションをまとめる

 さて、導入スタイルが決ったところで、まずは各枠のモチベーションを確認していきましょう。

『ニューロ』:失踪した友人を心配し、彼を救うために動く。
『クグツ』:千早重工後方処理課第三班。テラウェアの新型戦闘ドロイドの調査を行う。
『フェイト』:アスタロテよりフォルネウスの捜索を依頼される。
『イヌ』:ブラックハウンド機動捜査課。暴走するファルネウスを追いかける。ファルネウスの正体を知ってからは、テラウェアの陰謀阻止にモチベーションをシフト。

 こうして見てみると『ニューロ』と『フェイト』がフォルネウス、『クグツ』と『イヌ』がサイクロプスをモチベーションとしていることが分かります。
 そこで枠の並びは『ニューロ』『フェイト』『クグツ』『イヌ』としましょう。

 
前回のイメージメモに追記する

 最後に、今回追加した要素を前回のイメージメモに書き込みます。注釈であることが分かるように、丸で囲んでいます。


次回予告

 以上で登場キャラクターへの肉付けが完了しました。
 次回はこれを元にあらすじを作り上げ、プロットの前段階として導入とリサーチ項目までを作成していきたいと思います。

       

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